流動食の分類について
濃厚流動食とは
口から食べられない、もしくは十分な量が食べられない方でも、消化管が機能し、安全に使用できる場合には、腸管から栄養補給を行う経腸栄養が選択されます。
その際に用いられるのが、固形物を除去して流動性をもたせた「濃厚流動食」です。少量で高エネルギーを摂取できるよう調整されています。
窒素源による分類
濃厚流動食は窒素源の違いによって分類され、医薬品である成分栄養剤とあわせて3種類から選択されます。
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1半消化態流動食
たんぱく質が主な窒素源で、消化吸収能が保たれている方に選択されます。
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2消化態流動食
ペプチドとアミノ酸が主な窒素源で、消化吸収能が低下している方に選択されます。
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3成分栄養剤
窒素源はアミノ酸のみで、消化吸収能が低下している方に加え、炎症性腸疾患のひとつであるクローン病などへの寛解導入療法として活用されることもあります1)。

濃度や形状による分類
濃厚流動食の使い分けは、濃度(1mlあたりのエネルギー量)に配慮することも大切です。
標準的な濃度は1kcal/mlで、1kcal/mlを超えるものは高濃度タイプ、1kcal/ml未満のものは低濃度タイプと分類されます。
水分制限が必要な場合には水分量が少ない高濃度タイプ、水分を増やしたい場合には水分量が多く、追加水の準備の手間が軽減される低濃度タイプ、といったように、摂取する方の必要水分量を踏まえて流動食を選択していきます。

形状は、多くの濃厚流動食では経腸栄養チューブを用いて自然滴下できる液状ですが、近年ではとろみ状、半固形状の流動食も販売されています。
半固形の流動食は手しぼりや専用の加圧バッグを用いて注入しますが、胃・食道における逆流や、誤嚥性肺炎、胃ろう孔周囲炎、下痢、食後高血糖の減少、摂取時間短縮による介護負担の軽減、リハビリテーション時間の確保などが期待できるといわれています1)。半固形状ほどの粘度が必要ない人には、とろみ状流動食を使用する場合もあります。自然滴下可能で、速度調節も不要というメリットがあります。

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1)日本静脈経腸栄養学会(現:日本栄養治療学会)「静脈経腸栄養ガイドライン 第3版」
医療・介護従事者の方向けに、使用事例などの学術情報をご用意しています。